福岡に「Blue Note」があった頃、毎週、来福したアーティストの写真を9年以上モノクロで撮りました。断られることは稀でしたが、だいたいステージに登場して10分間がオイラに与えられた撮影時間だったです。もちろん撮影のためポーズを取ったり、何かをする・・・ということはありません。始まって10分が勝負です。会場が狭く三脚を立てることもフラッシュを使うこともできません。
ここで、機材は一眼レフ(モードラは使えません)を手巻きで撮るしかないなかで、ライカもM4に35〜90mmをつけて撮影しました。フィルムはモノクロのKODAK3200。レンズ絞り解放、シャッター速度1/125〜1/250が切れるなんて好条件は稀でした。1眼レフでは50〜300mm(単レンズ)を手持ちで撮るわけですから、アーティストと呼吸が合わないとブレてしまいます。最初の1〜2分はアーティストを観察して癖を飲み込み、撮る場所を決め、移動のコースを頭に描き、そして10分間を使い切ります。その後の暗室作業も手間がかかりました。
こういうときのオイラのテンションは最高潮に達し、エクスタシーにも似た達成感がやってきます。この失敗できない状況下で集中した時の緊張感を得ることができるということで、予定終了が確約されているお仕事よりとても好きでした。
写真は、デビッド・サンボーン氏。この写真を気に入ってくれて、アメリカ西海岸にてTV放映している番組のプロフィールに使いたいとの申し出があり、フォコマートで数枚8×10に引き伸ばしてプレゼントしたことがあります。
オイラの青春時代に流れていた「マイケル・フランクス」の曲ですが、間奏のちょいと泣きが入ったサックスを奏でているのがサンボーン氏の音です。
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